秋の渡りは迫力あり
これからの季節には、シギ・チドリの移動やタカの渡り、そしてヒタキ類の移動が楽しめる野鳥ファンには最高の季節です。8月を迎えるとすぐに「立秋」を迎えますが、人間の世界では残暑厳しい最中で秋を感じるには『まだまだ先のこと!』と考えられますが、「立秋」の頃から南へ向かって移動を開始する鳥たちが多くいます。
南へ移動する鳥たち
8月になるとシギ・チドリ類の移動が始まり、河口・干潟や水の張った田んぼで数多く見ることができます。
8月の早い時期から確認できるのがコチドリやキアシシギ、そして半ばを過ぎるとトウネンをはじめ河口近くにはシロチドリ・ミユビシギ・メダイチドリなどがやって来て、寒い季節まで居座る個体もいますね。
その他にもセイタカシギやチュウシャクシギなど10月半ばまで水辺で楽しめる鳥が多くいます。一度出掛けられてはどうでしょうか!
山へ行くと山での渡り・移動の鳥達を楽しむことができます。
8月終わり頃からやってくるのはエゾビタキで、10月中旬まで姿を確認できます。10月になるとキビタキやコサメビタキなど、場所によるともっと珍しい鳥達も見ることができます。山で南へ移動するこの時期の小型の鳥達(夏に日本で繁殖に来た鳥)は、一度にたくさんの距離の移動ができないため、十分な食事を取りながら少しづつ南へ向かうので、一箇所で楽しめる日数が長くあると思います。
また、田んぼの畦や秋蕎麦の畑の周りには、ノビタキやホオアカを見ることもできますので、水辺の鳥も野原の鳥も十分に楽しんでいただけると思います。
アカハラダカの渡りを楽しむ
九州の西岸を南へ向かう小型のタカのアカハラダカは、朝鮮半島以北で繁殖し、東南アジア地域で越冬します。毎年必ずこの時期には見ることができます。
朝鮮半島から対馬を越えて長崎・熊本西側を通り、鹿児島県の東シナ海側を通過し、海を渡っていきます。日本全国でも数少ない観察地に鹿児島県がなってます。
毎年9月13日前後に大きな集団が渡って来ています。年々に違いはあっても約2000羽〜4500羽を見ることのでき、間違いなく楽しめることと思います。この後は鹿児島県の島々を移動して9月20日過ぎには沖縄県に到着しているそうです。
サシバも楽しむ
サシバは北海道を除く日本全国で夏に繁殖に来るタカ類で、鹿児島県内でも多くの繁殖が確認されています。秋になると本州から南へ向かう集団と、朝鮮半島方面から南へ向かう集団が、揃って鹿児島県を通過し南へ移動していきます。
本州からの移動のコースは、宮崎県都城市の金御岳から鹿児島県大隅半島の高山→田代→佐多岬へ向かうコースと、朝鮮半島から鹿児島県西岸を下って金峰山付近を通過するコースが確認されています。
また、鹿児島市内の上空を早朝に移動するサシバの群れは過去にも何回か確認されました。
時期的には10月になるといろんな観察場所で渡りを見られるようになり、年ごとの移動日に変化はありますので良い日にちに当たると十分に楽しめると思います。
日本野鳥の会・鹿児島のイベント(探鳥会)は、鹿屋市吾平町の大隅広域公園と、南さつま市金峰山の2か所で開催していますが、薩摩川内市八重山やお住まいの近くの山へ出かけるとサシバの渡りに出会えるかもしれませんね!
冬鳥のやってくる季節です
11月は秋の季節になりますが、冬を暖かな鹿児島で過ごす多くの冬鳥がやって来る季節でもあります。個体による日時の差はありますが、多くは10月20日頃になると出水にはナベヅル、干潟にはクロツラヘラサギなど有名な鳥たちがやって来ます。加えて冬によく見かけるシロハラ・ジョウビタキ・ホオアカ・ノスリ等もこの頃から姿を見せはじめます。
その後には色んな場所で確認できるカモ類の飛来もあり、アオジやミヤマホオジロなどの小さな鳥たちが姿を見せてくれるようになり楽しみです。