当紙「るりかけすvol.181」の、2号前(2023・8月号)に案内してありましたが、標記探鳥会を地区のNPO法人と共同開催して盛会のうちに、終えることが出来ました。
自分たちが住む脇本海岸を愛する人々で結成された、NPO法人「脇本海岸ウミガメ・シロチドリ会」大川内良一代表より、本会かごしま県支部へ、シロチドリを含め海岸の鳥類の保護と知見向上を目的に、協力連携の要請があり多くの関係者の協力を得て準備を進めて参りました。法人の副代表、本脇喜博さんには会を代表して8月、日本野鳥の会かごしま県支にも入会いただき、協力体制が整いました。探鳥会当日は、NPO関係者27名、野鳥の会・一般26名、計53名の多くの皆さんに参加頂きましたが、参加者や協力いただいた方々に心からお礼申し上げます。この日、10月22日の白砂青松の海岸は、抜けるように青空が広がり波静かな渚から遥か水平線を望むと、彼方に甑島の島影も見ることができる絶好のバードウォッチング日和でした。地区民の暮らしと豊かな自然がうまくマッチした海岸周辺を2時間歩くことで、探鳥会の楽しさを十二分に体感してもらえたことと、併せてNPO関係者には主に、シギ・チドリ類への認識を深めてもらえたのではないかと思います。
当初、要請があった後、知見の深い協力者が必要との判断でこの地に近い、出水市ツルの渡来地・東干拓近くにお住いの溝口さんに協力をお願いしたところ、快く引き受けてもらいました。
溝口さんには、2022・8月から毎月1回1年間、植物を含め現地調査を実施され又、私達のシギ・チドリ調査や探鳥会事前確認等での結果を踏まえ、シロチドリ・ミユビシギや珍しい種ではミヤコドリを含めシギ・チドリ類は、合計12種が確認されています。その他、カモメ類4種、カツオドリ・トビ・等大型の鳥、又、身近なヒヨドリ・メジロ・ウグイス等を含め、39種確認されて合計では51種を数えました。
Others ありがとうみんな!! 阿久根市脇本海岸初イベント

NPO法人
脇本海岸ウミガメ・シロチドリ会
設立:2021年12月23日
目的:
脇本海岸及び周辺の豊かな自然を守ると共に近隣住民の安心・安全の確保と産業発展の調和をテーマに、阿久根県立自然公園としての脇本海岸の美しさを後世に残し、自然の魅力を多くの人に感じてもらうことで市の発展に寄与することを目的とする。

開催の挨拶 理事長:大川内良一様
この数は、阿久根市のキャッチフレーズ「あくネ・うまいネ・自然だネ」にピッタリ当てはまると、思いませんか。尚、この数値は海岸付近の野鳥の目安指標(50種)として役立ちます。
今回の探鳥会は南北約2.5kmに広がる海岸北側端の、脇本地区公民館の横を流れる愛宕川河口に近い松林を起点に行いましが、シギ・チドリ類に限れば、シロチドリ5羽とミユビシギ1羽の計6羽と少ないものでした。事前踏査でも種類羽数とも少なかったので、最悪出現ゼロも有り得ることを考慮して県立博物館より標本(剥製)を借用しましたが、残念ながらシロチドリの標本がなかったので、クレインパーク鶴の博物館に借用依頼をしたものの、そこにもなく止むを得ずシロチドリ(17cm)より少し小さい、トウネン(15cm)をはじめとしてダイシャクシギ(60cm)まで10数体を現地に展示しました。

参加者には普段見られない剥製を興味深く観てもらったことで、NPO法人の活動への理解がより深まったことを感じました。 しかし、この海岸で繁殖し留鳥として過ごすシロチドリにとって、現状は厳しいものがあります。2022年に限れば産卵期に17羽確認、20か所の営巣地で50個の産卵をしたものの、3羽しか孵化せずその3羽の巣立ちも確認できなかったそうです。キツネ・ネコ・カラス・ヘビ等の天敵や、砂浜の減少等の自然環境の影響、心無い人間の繁殖地への侵入等多くの要因問題があります。更に繁殖地(保護地帯)の目と鼻の先に新しいレジャー施設のグランピング(名称;ナプーカラビーチリゾート)が昨年開店して、彼等にプレッシャーを与えています。
本種は今から大よそ40年前の1985年と2000年以降と比較した場合に、その割合は8割も減少して絶滅危惧種Ⅱ類に指定されています。これからの保護活動について、県支部としては今回、探鳥会・鳥類調査に協力できたことで、次は日本野鳥の会本部との連携や、全国各支部の取り組み事例等の現状把握が必要であると思います。その上で、会員皆様との情報共有や知恵を拝借しながら、シロチドリ復活の手助けを進めていきますので、ご協力をお願いします。
NPO法人:脇本海岸ウミガメ・シロチドリ会様より
阿久根市で初めての探鳥会を脇本海岸で開催していただき有難うございました。
探鳥会の前には、かごしま県支部の役員の皆様と様々な情報交換ができ、また探鳥会当日には多くの鳥の愛好家の皆様に海岸まで足を運んでいただいたことが私たちの活動の新たな刺激になりました。
これまでは何となくいろいろな鳥がいることを感じていましたが、この機会に鳥たちの顔がはっきり見え始め、この海岸を守る活動の意味がさらに深まりました。NPO法人脇本海岸ウミガメ・シロチドリ会は、その名前の通り絶滅危惧種のウミガメとシロチドリの保護を通じて、白砂青松の美しい海岸を後世に残していくことを目標にしていますが、絶滅危惧種を護ることは、また貴重な数多くの動植物を護ることにつながると再認識しました。
最後にご報告ですが、私たちの活動が景観を守ることにつながることが認められ、脇本海岸が第3回鹿児島県景観大賞( 令和6年2月発表) に選ばれました。今後とも野鳥の会の皆様と歩調を合わせていけたらと考えていますのでよろしくお願いします。
理事長:大川内良一
報告:手塚