2023年2月4日に枕崎市花渡川河口で枕崎市主催の野鳥観察会が行われました。
私は講師として参加しました。観察会の数日前に下調べをして花渡川河口で普通に観察されているアオサギ・コサギ・クロサギやイソシギ・トビ・ハシブトガラス・セグロカモメなどを確認しました。この時にはユリカモメは確認しませんでした。
野鳥観察会当日、花渡川河口で前日の下調べの時に確認した野鳥を参加者と観察できました。そして下調べの時には確認していないカモメ類2羽が花渡川河口中央辺りを泳いでいるのを確認しました。対岸に向かって前後になって泳いでいるカモメ類を望遠鏡で確認したらユリカモメのようです。
でも、前後になっているとはいえ大きさが余りにも違いすぎます。参加者と市の担当者に其のことを説明しました。
Others チャガシラカモメ飛来 <枕崎市花渡川河口に>

小さい方がユリカモメではなくて珍鳥のボナパルトカモメかも知れない、そうだったら日本では数例の観察記録しかない珍鳥だと説明して野鳥観察会は終了しました。
枕崎市の担当者も大きさが違い過ぎることと珍鳥かも知れないと説明したので写真撮影していました。
野鳥観察会終了後に2羽のユリカモメらしき鳥を探したのですが再確認できませんでした。
でも、観察会の時から片方はユリカモメではないとの予感があったので一応、証拠画像になる程度の撮影はしていました。
その日の夜、パソコンに画像を取り込み、2羽のカモメ類の識別を行いました。
拡大して画像を確認したら小さいのは現場で観察したとき予想していたボナパルトカモメではないことが嘴の色から直ぐ分かりました。小さい方はユリカモメでした。
ということは大きい方がユリカモメではないと分かってきました。画像を拡大して確認したら虹彩の色が淡色です。このことから直ぐチャガシラカモメが予想されます。
さらに嘴の色と形、静止時の翼先端の白斑の形を確認してチャガシラカモメと同定できました。図鑑で解説している識別ポイントを画像からこれだけ読み取れたら識別は難しいカモメ類ではありません。
チャガシラカモメは国内での公式な記録は2002年5月30日に千葉県銚子市と茨城県波崎町で確認された同一個体とみられる1羽だけのカモメ類です。
非公式に沖縄県でも観察記録はあります。
それを含めても国内3例目となるチャガシラカモメを私が枕崎市花渡川河口で観察したことに驚きました。
枕崎市花渡川河口で観察したカモメ類がチャガシラカモメだと分かった時、直ぐ野鳥観察仲間の知人に画像を送りチャガシラカモメで間違いないか観ていただきました。知人もチャガシラカモメで間違いないと驚いていました。
その知人が6日に枕崎市花渡川河口に行ってチャガシラカモメを探したのですが飛び去った後だったようです。私も何回も探しに行ったのですが再発見することはできませんでした。それにしても2月4日の花渡川河口に居たカモメ類はセグロカモメ30羽ほどとユリカモメ1羽とチャガシラカモメ1羽だけでした。こんなに少ないカモメ類の中に国内3例目となるチャガシラカモメが居たことに驚きです。
2013年1月に同じく花渡川河口近くでワキアカツグミが地元の知人によって発見されました。

この時は全国から大勢の方が来て観察・撮影しました。その中に野鳥図鑑の著者である野鳥写真家も来ていて一緒に撮影しました。その時、シロカモメとセグロカモメを観察して識別のレクチャーを受けました。そしてチャガシラカモメとゴビズキンカモメが出るかも知れないから注意して観察してくださいと言われていました。偶然ではありますがその通りになりました。
チャガシラカモメが枕崎市花渡川河口から居なくなって1ヶ月ほどたって其の写真家から銚子漁港でチャガシラカモメが確認されたと連絡がありました。カモメ観察のメッカ銚子漁港で観察されたのですから全国から多くの方々が観察・撮影に来られたようです。
枕崎市花渡川河口で21年ぶりに観察されたチャガシラカモメが1ヶ月後には銚子漁港で観察されたのですから野鳥観察は不思議なものです。
枕崎市花渡川河口で観察されたチャガシラカモメは山階鳥類研究所に画像を分析していただいた後、2月22日の朝日新聞に掲載されました。
報告:小園