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  私のフィールドノート  

vol.90  鹿児島市・永田川にシジュウカラガン飛来

 2024年8月7日に鹿児島市永田川にシジュウカラガンが飛来していると知人から連絡がありました。連絡を受けてもシジュウカラガンは冬鳥で主に東北地方で越冬する野鳥なので真夏に、それも鹿児島県で目撃される筈がないと思いました。教えてもらった永田川に走行中もかご抜けのカナダガンか家禽だろうと思っていました。

 ところが現地に到着してコサギやアオサギと一緒に居た頭から頸が黒く、頬が白い鳥は間違いなくシジュウカラガンでした。もしかして動物園で飼育されていた個体かも知れないと思って足環が付いていないか調べました。足環は付いていません。そして観察中に50mほど飛んで行き、また戻ってきました。発見者の知人も足環は付いていなくて普通に遠くまで飛んで行って戻ってきたと話していました。

 越冬のために日本の主に宮城県に渡って来るシジュウカラガンは一時、絶滅したと考えられたガン類です。今、宮城県では7000羽余りのシジュウカラガンが越冬するようになったそうです。それは昭和初期まで宮城県にあった一大越冬地に再びシジュウカラガンを越冬させるための保護活動と国際的な保護で実現できた絶滅危惧種の人為的回復の事例になっているようです。

 千島列島やアリューシャン列島で繁殖して越冬地の東北地方(主に宮城県)に飛来したと思われるシジュウカラガン1羽がなぜ繁殖地には向かわずに真夏の鹿児島県で目撃されたのか興味は尽きません。永田川では1日だけの観察でした。翌日は居なくなっていました。

 もっと南に飛んで行ったと思ったのですが霧島市天降川で再確認されました。その後の目撃情報はないようです。今、どこに居るのか益々興味が尽きません。

報告:小園