イ オムサロ原生花園&シブノツナイ湖(6月24.25日)
オムサロ(紋別市)は、国道239号とオホーツク海に挟まれた、面積も中学校校庭ほどの手ごろな広さの天然の花園、つい数日前近くでヒグマが出現し園内立ち入り禁止になっていたが、幸いこの日は解除になっていて散策コースに沿って午前中観察した。ハマナス等赤、白、黄色の花々の上をノビタキ、オオジュリン、アオジ、シマセンニュウが盛んに飛び交っていた。
vol.88 北海道鳥見紀行-赤い鳥を見たい-
1 はじめに
2023年6月3日、3年来温めてきた日本一周車中泊独り旅に出発した。旅の目的は①旅行会社のツアーでは体験できないDeepで気ままな旅をする。②北海道で赤い鳥を見る。③全国色んなゲレンデでウィンドサーフィンをする。④道中有名そば処のそばを食べる。etc
旅行は幸いにも本降りの雨は3~4日だけ、天気に恵まれ全行程58日10,069kmを独りで運転し、7月30日無事鹿児島へ帰ってきました。
今回、その中で鳥見を中心に、私が行った各フィールドの概要と鳥見結果をまとめてみました。
2 鳥見行
① 前哨戦
ア 6月7日 兵庫県豊岡市
柱状節理で有名な玄武洞を見学した後、車を走らせて間もなく、目の前の電柱に1羽のコウノトリを発見。さすがコウノトリの郷、幸先ヨシとりあえず写真get。そのあと次の目的地「舟屋の伊根」へと進む丹後半島めぐりの途中、京丹後市の水田に2羽のコウノトリを発見。かって絶滅しかけた鳥がすっかり里山の風景に溶け込みノンビリ採餌中、緑の田んぼに白いコウノトリ、奇麗・感動!1時間あまりバチバチ写真撮影。(後で編集しようとしたら2~30枚撮ったはずの写真がすべて消失!無念。)
イ 6月11日 長野県戸隠
学生時代以来実に半世紀ぶりに鳥見と戸隠そばを目当てに再訪。そばは絶品! 鳥見は戸隠森林植物園で10時頃から約1時間半、あいにくの雨の中傘をさし、「クマ出没注意」の看板を気にしながら独り双眼鏡を手に歩きました。遊歩道をさっと横切る鳥はいたものの、止まっている鳥は残念ながら確認できず。(小生弱い難聴につき鳥の鳴き声は殆ど聴き取れず。)
② 北海道鳥見行
ア サロベツ湿原(6月20日)
サロベツ湿原は稚内市の南、天塩郡に広がる東西約5~8㎞、南北約27㎞途方もなく広い湿原。鳥見は「サロベツ湿原センター」の散策路1時間コースをゆっくり2時間くらいかけて観察。エゾカンゾウが咲いていたものの例年よりは少ないとのこと。野鳥はあまり見られず、ノビタキ4羽観察しただけ。シマアオジが出るらしいので次回は研究してから臨みたい。ここから見るエゾカンゾウの花畑を前にした利尻富士は絶景である。

エゾカンゾウの花畑と利尻富士
特にシマセンニュウは本州以南では旅鳥。まれに飛来しても、通常やぶの中で生活しているため観察は殆ど難しい鳥のようだが、ここでは丁度繁殖時期でエゾノシシウドの花の上で盛んに囀り容易に観察できた。
午後は地元バーダーに教えていただいた近く(車で25分)のシブノツナイ湖へ移動。ここはオホーツク海と湖を隔てる砂州上にできたハマナス等の花が一面に咲き誇る原生花園(全長約2km )で、ノビタキ、オオジュリン、シマセンニュウが盛んに飛び交っていて、なかでも今回の北海道鳥見の第一目標にしていた赤い喉のノゴマを何度もまた至近距離で観察できた。さらに北海道でもここでしか見られないというツメナガセキレイ夏羽をじっくり観察できたほか、望外の赤い鳥ベニマシコも三度出現し観察することができた。おまけに初見のアカゲラもgetしました。
両フィールドは互いに近いため一日で行き来しながら観察でき、野鳥種類、個体数ともに多く、北海道イチオシのポイントです。
ウ ワッカ原生花園 (6月26日)
午前中、サロマ湖ワッカネイチャーセンター近くのエリアで観察した後、オホーツク海とサロマ湖を隔てる砂州(全長4km超)上に伸びる原生花園で観察。ノビタキ、オオジュリンはよく見られたが、その外の種を見ることはなかった。砂州の上を片道1時間半ほど歩いたが、長すぎて途中で引き返しました。
エ 小清水原生花園(6月26日)
大手旅行会社のツアーでも訪れたことがある国道391号沿いのオホーツク海沿岸の原生花園(斜里郡小清水町)で国道の両サイドに天然の花畑が広がり、歩いて2~30分程度で観察できるお手軽なフィールド。ハマナス、エゾスカシユリ、ヒオウギアヤメなどが咲いていたが観察できた野鳥はノビタキだけでした。
オ 知床(6月27日)
4年前に旅行会社ツアーで乗船予定が、濃霧のため乗船できなかった知床遊覧船に、今回海鳥観察期待で乗船した。乗船員の話ではケイマフリ等の海鳥も見られるとのことでしたが、遠くにヒヨドリ大の海鳥を見たものの他に野鳥は観察できなかった。
その後、ウトロから羅臼へ抜ける知床横断道路峠の展望台でバーダーが4~5組カメラを構えていたので、聞くとギンザンマシコを探しているとのこと、私も一緒に1時間半ほど双眼鏡を覗いたが現れないでした。
知床横断道路を下りた羅臼で、オジロワシとオオワシを期待して漁港へ行くがカモメ(初見)以外は見られず。地元の人の話しでは冬季以外はいないとのことでした。
カ シマフクロウの宿(6月27日)
羅臼で昼食後、妻から電話「MBC送城山スズメで、北海道を車中泊旅行している鹿児島の人が「シマフクロウの宿に泊まった。」って話してたヨ。」そう言えば以前雑誌で読んだことが とネット検索したら、なんと宿は羅臼から車で10分弱の場所!当日宿泊は流石に無理と思いつつ電話したら意外と宿泊OK!旅館の目の前(15m)の小さな谷川に石組みのプールが作られていて、その中に活きた魚を放しておくと夜間シマフクロウが採餌に訪れるらしい。同日夕食後7時過ぎから外の鳥見客3名と窓越しにカメラを構えて観察したが、深夜0時になっても現れず、翌日根室方面へ向かう予定だったので、運転に無理は禁物と0時半就寝のため退席。ところが30分後シマフクロウ1羽が池に飛来して採餌、そのあと深夜2時半にも再訪し、2名の方がカメラに収めることができたとのことでした。残念!!
キ 野付半島 (6月28日)
野付半島は鳥の足先みたいな形をした全国でも珍しい典型的・大規模な砂嘴で、一度は行ってみたかった場所(標津町)。あいにくこの日は一日中濃霧ですぐ近くに見えるはずの国後島は見えなかった。砂嘴上に伸びる長い県道(14km超)沿いはハマナス等が咲き乱れる原生花園、時々車を止め双眼鏡で花畑を覗きながらネイチャーセンターまで行ったが、意外と野鳥はほとんど観察できませんでした。
ク 春国岱(6月29日)
根室市近郊の道の駅で朝9時出発しようとしていたら、パトカーが近くに来て、警察官が私のほうへ歩いてくる!!何も悪いことした覚えはないが?と少し緊張。曰く「すぐ近くで熊が出没したから気を付けて。」とのこと、ホッと安心!?
その後すぐ近くの春国岱(しゅんくにたい)へ向かう。ここの原生花園は意外と花は殆ど咲いていなかった。「野鳥の森コース」の散策路を歩いていたらノビタキを確認。さらに進んで森の手前でカッコウの声がするので双眼鏡を覗いたら、枯れかかったトドマツのてっぺんにカッコウを確認、鹿児島では声はすれども一度もお目にかかったことがないだけに、もうこれだけで満足!!
余談ながら、鳥見を終え駐車場へ帰ったら、市の担当者が「クマ出没につき進入禁止」の看板を立てている最中、ぎりぎりセーフそれとも殆どアウト!?
この後、釧路のほうへ車を走らせ、「釧路市丹頂鶴自然公園」で保護・飼育されているタンチョウツル(初見)を観察し、北海道の鳥見を終えました。
3 北海道の原生花園
北海道の海辺には至る所に自然のままの原生花園が点在し、6月になるとハマユウ、エゾカンゾウ、エゾスカシユリ、ヒオウギアヤメ、エゾノシシウドなど赤、青、黄、白色、色とりどり花が咲き乱れ、これらの花に群がる無数の虫を目がけて多種多数の野鳥が飛来し、原生花園で繁殖活動をしている。
地元バーダーの話では、花が咲きだす6月初め頃、野鳥はペアリング活動に入るため、花の上で盛んに囀っていて、野鳥を見つけやすい。中旬以降繁殖時期になると、鳥は虫を口いっぱいに咥え、すぐに雛の待つ営巣地(藪の中)へ潜り込んでいくとのことである。(但しシマセンニュウは下旬でも花の上で囀っていたので鳥により時期は異なる。)
今回観察したノゴマも虫を2~3匹口に咥えて、目の前4~5メート先まで近寄ってきた。

赤白黄色の花が咲きほこる原生花園
その時は「この鳥は警戒心がない。人に慣れている?」って思ったのですが、本当は私が立っている足元付近に巣があり、雛が盛んに呼ぶものだからあえて私の近くまで寄ってきた・・のかもしれません。
いずれにしても、北海道以外では殆ど見られない原生花園は、6月花が咲く時期と野鳥の繁殖時期が丁度重なり、バードウォッチングには最高のフィールドと思います。
4 振り返って
せめて喉の赤いノゴマを見られたらいいな! と思いながらの北海道鳥見行でしたが、夏の北海道は野鳥の宝庫。野鳥種類、出現頻度が鹿児島とはけた違い、そのうえ鹿児島では見られない夏羽の野鳥、さらにノゴマ、ベニマシコ等の赤い鳥を割と容易に観察することができました。
なかでも、オムサロ&シブノツナイ湖は先述のとおり一日で双方を行き来して観察できるうえ、野鳥種類、個体数も極めて多く、6月に行けばほぼ満足のバードウォッチングを楽しめると思います。
また今回私は単独・よそものでしたが、地元のバーダーはとてもフレンドリーで、「あそこに行けば・・が見られるヨ。」「あれは夏羽の‥鳥だ。」とか、カメラの使い方まで親切また気さくに教えてくれました。
今回の鳥見行は、私が日ごろ鳥見をサボっているため野鳥観察眼と識別能力が劣っていたこと、また北海道の夏鳥について事前勉強を全くしていなかったため、本来ならもっと多くの種を確認できたに拘わらず見逃した鳥も多いはず!というか多いです。このようなことで誠に大雑把な報告になってしまいましたが、美しい原生花園と圧倒的な野鳥を見てきたものとして勇気をだして書いてみました。
遠いけれど、6月の北海道は梅雨がなく涼しいし、観光地や温泉も多数,またおいしい食べ物がたくさんあって訪問者を飽きさせません。鳥見目的でなくても単に観光或いは避暑目的で北海道へ車中泊旅行する方は予想以上に多く、2カ月或いは6カ月滞在のリピーターはザラ、今回鹿児島からの車中泊旅行者にも5組お会いしました。魅力満載の北海道!一念発起、時間の許す方は北海道車中泊の旅はいかがでしょう。

シマセンニュウ オムサロ原生花園

ベニマシコ シブノツナイ湖
報告:永田