私のフィールドノート vol.86

2022年10月 悪石島の鳥(十島村)

 2022年10月11日(火)〜16日(日)にかけて、トカラ列島の悪石島に野鳥の観察・撮影に行った。
 コロナ下で行きたくても行けず悶々とした日を過ごしていたが、村の感染症対策と経済社会活動の両立を図り交流を促進するという方針が出ていたので、思い切って行くことにした。また、個人的には3年前にアナフィラキシーショックを起こしたことがあるので、その対策も一応万全にして出かけた。もちろんPCR検査を受け、陰性証明が必要だったことは言うまでもない。

 3年半ぶりに着いた島の眺めは一変していた。島の至る所に生えている松の木のほとんどが枯れて赤茶けていた。松くい虫の被害が甚大で、手の施しようがなかったとのこと。八幡神社の樹齢400年以上の琉球松の巨木は、立ち枯れて無残な姿をさらけ出していた。松の木が泣いているようにさえ思ったのは私だけではないだろう。
 今は枯れ果てた松の木で、アカコッコ、アカモズ、イワミセキレイ、サシバ、シマアオジなど多くの野鳥を撮ったことが思い出された。
 さて、今回の島行きではあまり多くの野鳥たちに会えなかった。以前必ずといっていいほど見ていたムネアカタヒバリやカワセミ、モズ類、カモ類は全く観察されなかった。また、鹿児島県本土よりも早く見ることの多かったツグミ類も全くいなかった。

ノビタキ

 多かったのはエゾビタキとコサメビタキで、島の至る所でその可愛い姿を見ることができた。
 また、今年の秋、金峰山ではあまり観察できなかったサシバは多く観察できた。14日の午後に山を歩いていると、「ピックィー」と2回鳴いてくれた。15日は朝から雨が降り天気が悪かったが、雨の合間を縫って次々に南下して行った。しかし、途中まで行ってはまたすべてが引き返してきた。その日の午後は港を望む山の斜面に、サシバたちが休んでいるのが何羽も観察された。

エゾビタキ

 なお、悪石島に住む知人のIさんからは、10月2日にスマホのカメラで撮った画像が送られてきたが、彼によれば大きい群れは2~300羽くらいだったとのこと。大隅半島を渡って行ったのが、島で観察されたのだろう。
 次ページの表は今回観察した鳥である。順序は日本鳥類目録改訂第7版によった。観察数は滞在中の最大出現数を記録した。野鳥の同定に当たって、南さつま市の小園卓馬さん、鹿児島大学生の加藤銀次さんには大変お世話になったことに対し厚くお礼を申し上げます。

コサメビタキ
ムナグロ
ツメナガセキレイ
悪石島5日間で出会った鳥

・キジバト      ・カツオドリ
・アカガシラサギ   ・アマサギ
・アオサギ      ・ダイサギ
・チュウサギ     ・コサギ
・ムナグロ      ・タシギ
・ユリカモメ     ・ミサゴ
・ハチクマ      ・サシバ
・チョウゲンボウ   ・ハシブトガラス
・ツバメ       ・ヒヨドリ
・ウグイス      ・メジロ

・ムクドリ      ・コムクドリ
・ジョウビタキ    ・ノビタキ
・イソヒヨドリ    ・エゾビタキ
・サメビタキ     ・コサメビタキ
・キビタキ      ・オオルリ
・ツメナガセキレイ  ・キセキレイ
・ハクセキレイ    ・ビンズイ
・アトリ       ・アカマシコ
・コホオアカ     ・アオジ
     確認種数 28種