春は渡りの季節です
寒い季節にはジックリと冬鳥を観察できました、そしてこれからは暖かさと一緒に次から次へとやってくる鳥たちの移動の季節が始まります。鳥見も忙しくなってきますね!
そんな鳥たちに焦点を絞り、過去データをもとに観察情報をまとめてみました。
ヤツガシラを探しに出かけてみる
春を待ちわびる観察者また野鳥写真を楽しむ方には、一番の春告げ鳥はヤツガシラと思います。
南薩地域の東シナ海側で毎年のように記録されています。開けた草地(芝生の広がる場所)や公園、農耕地で旅の疲れを癒し、また次への栄養補給のために一日中食事行動を続けています。
南薩地域では早い個体は3月初旬頃から、一般的には春分の日前後の1〜2週間に確認情報が多くあるようです。
ヤツガシラはなんと言っても、その名の通り頭部の冠羽が縦に開き、飛翔羽を横に大きく広げる姿が、写真を撮る観察者には最高に魅力ある瞬間でカメラの連写音が周りから聞こえてきます。

また、下へ曲がったツルハシのような嘴で、地面をつつき、地中に潜む虫や幼虫を捕まえ、嘴を跳ね上げて食べる姿(通称:パックンチョ)の瞬間を楽しむだけでも、会えて見れてうれしい鳥ですね。
過去には南薩地区だけでなく、日置市日吉町や薩摩川内市原発近くと指宿市の海岸でも確認しています。春の暖かさを感じるには最高の存在ではないでしょうか。
ヤツガシラと一緒に楽しめる鳥たち
ヤツガシラのやってくる時期と同じくして、また同じような場所で楽しめる春の渡りの鳥たちがいます。一番目にするのはホオジロハクセキレイで、出会えて嬉しくなるのがギンムクドリです。
ホオジロハクセキレイはヤツガシラと同じく、東シナ海側の野原でよく見かけますがハクセキレイと思っていると気づかない事もあります。顔に特徴がありますのでじっくりと探してみてください。
ギンムクドリはムクドリと一緒に行動する事も多くて、ムクドリの集団の中にいたりします。


早期米の田んぼにやってくる鳥たち
鹿児島県内では3月の下旬頃から早期米の田植えが始まり、水を張った田んぼをあちこちで見る機会が多くなってきます。田んぼへ目を向けるとシギ類の姿を目にすることがかなりの確率であります。
その鳥たちの中で出会いが多く見つけやすいのがタカブシギです。体長20cmほどの小さめのシギですが数羽がまとまって姿を見せてくれますから、よく出会う事のできる鳥になります。個体にもよりますが車が近づいてもすぐに逃げる事は少なく、肉眼で行動を観察でき写真も気軽に撮らせてくれて、私たちには愛嬌のある部類になるでしょうね。

そして、田植えを終えた田んぼでひときは存在感の示しているのはセイタカシギです。特徴のある細身の体に、スーッと細く伸びた赤い長い足、可愛い小さな目を持つ愛らしい姿は『写真に撮っておこう!』、そんな気持ちを抱かせる鳥です。美しさと体のラインは観察者を虜にする一種と言ってもよいかと思います。
数十年前までは滅多に出会う事のない鳥でしたが、今では普通に出会える春と秋の渡りを知らせる鳥となりつつあります。また、田んぼでひときわ目立つ白と黒茶色体型は、野鳥に興味のない人でも目に止まり『綺麗で可愛らしい鳥』と写真を撮る姿を見かける事もあります。車でソーッと近づくと逃げることもあまりありませんから(経験上)、春には絶対チェックしておきたいセイタカシギです。

河川・河口付近で見かける鳥たち
最初はチュウシャクシギです。名前の通りに中型の嘴が下へ曲がった鳥で、春の渡りの季節から初夏ごろまで、そして秋の渡りも含めて河口付近で出会う事の多い鳥になります。春は集団で見かけることが多く、飛翔姿は迫力を感じますネ。
シギ・チドリ類は南の地域から春にやってきて、日本より北で繁殖する種が多くいます。そのために日本は通過地点になり「旅鳥」として扱われます。
日本国内でも繁殖する種もいますが、南から北へとかなりの距離を移動するため、春の早い時期から見ることができます。

色んな場所で出会う事の多いのがこのキアシシギです。河口・干潟・水田・川などに多くの個体がやってきてますので、黄色いはっきりとした脚で見つけやすいと思います。
春の渡りの鳥たちがやって来る頃は冬鳥も多種・多数が残っています。特に水辺にはカモ類とシギ類が混じり合っていますから、観察も楽しくなります。
その他にもムナグロ・トウネン・コチドリ・キョウジョシギ・ホウロクシギも河口や干潟など、また河口近くの田んぼなどで見ることができます。

冬に楽しめたクロツラヘラサギも4月中旬頃までは毎年見る事もできますし、住宅地のジョウビタキも4月初めまで確認はできます。残り少ない冬鳥との時間を楽しむのもこの季節の別な観察になるのではないでしょうか。
皆さんも陽気に誘われて、色んな場所へ出かけられてはどうでしょうか!。
「愛鳥週間」(5月10日〜16日)
毎年5月は愛鳥週間(Bird Week)です。
日本鳥類保護連盟が提唱する「愛鳥週間」が目指すものは!
野鳥とそれを取り巻く自然環境について、現状を正しく理解し、野鳥保護と自然環境及び生物多様性の保全の重要性を普及啓発するとともに、保護・保全に向けた行動を起こすことにより、野鳥を含む自然環境と私たち人類が共生できる社会の実現を目指しています。
・夏鳥(オオルリ・アカショウビン)がやってくる時期になります。
・留鳥(スズメ・シジュウカラ・ヤマガラ・カワセミ等)の巣だったヒナが、飛び回り始める。
・野鳥のさえずりを耳にし、季節の変化を感じる。

カワセミの幼鳥(5月下旬)